
フレンチシューズの最高峰として名高いJ.M. WESTON(ジェイエムウエストン)は、卓越したクラフツマンシップと気品あるデザインで、時代を超えて愛され続けているブランドである。時間をかけて良いものを作り上げるというその姿勢は、靴だけではなくブランドや働く人々へも注がれる。本記事では、探究心に溢れるその歴史と技術、そしてサステナビリティへの取り組みを紹介する。
フランスで生まれた靴の物語
J.M. WESTONの歴史は1891年、フランスのリモージュで始まる。創業者エドゥアール・ブランシャールは、フランスの伝統的な靴作りの技術を守りながら、より実用的で洗練されたシューズを生み出していた。その後、息子のユージェーヌがアメリカで当時の最新技術を学び、ブランドに取り入れることで飛躍的な進化を遂げた。
1932年にはパリのシャンゼリゼ通りにブティックを構え、洗練されたパリジャンたちの間でステータスシンボルとしての地位を確立する。「ゴルフ△ #641」や「シグニチャーローファー△#180 」などのアイコニックなモデルは、この時代に誕生し現在に至るまでブランドを代表する一足として知られている。

HOOK AND BAR DRESS | PROTOTYPES
METAL DRESS, SOCKS | WOLFORD
SHOES | J.M. WESTON
唯一無二の履き心地とタイムレスなデザイン
J.M. WESTONは、フレンチトラッドを象徴するブランドでありながら、機能美を極限まで追求している。革靴の意匠であり、履き込むほどに足に馴染む構造が特徴のグッドイヤーウェルト製法を採用。また、オリジナルのゴムソールや分厚いダブルソールを使用することで、耐久性と快適性を両立している。
日本の伝統と交差するとき
2017年に始まったジェイエムウエストン ファンデーション アワードでは、フランスと日本の若い職人の交換留学の機会を提供する。フランスと日本から選ばれた職人が互いの国へ留学し最高品質の靴作りを学ぶ。ブランドがフランスのリモージュから世界に広がった今も、どこにおいても同水準の技術を継承する教育に重きを置く。
未来への継承──サステナブルなクラフツマンシップ
J.M. WESTONの根底には、持続可能な未来への意識が息づいている。役目を終えた靴を回収し、熟練の職人が修復・再生するプロジェクト、「ウエストン・ヴィンテージ」は、まさにその象徴である。ヴィンテージシューズとして再び市場に送り出されることで、靴に新たな命が吹き込まれる。
またクラフツマンシップの継承と伝統技術の保存を目的とする「ジェイエムウエストン財団」を設立。先ほど紹介したジェイエムウエストン ファンデーション アワードもその活動の一部である。若い世代の職人育成や技術の革新を支援しながら、ブランドのアイデンティティを未来へと紡いでいるのだ。
J.M. WESTONの靴は単なるファッションアイテムではなく、時代を超えて受け継がれる芸術品である。その類まれなる技術を惜しみなく次世代への継承へと投資することで、その足跡はこれからも、新たな歴史を刻み続けていくだろう。
【出典】
https://jmweston.jp/history
https://jmweston.jp/fondation
https://www.imn.jp/post/108057199480
https://www.imn.jp/post/108057203756
https://www.wwdjapan.com/articles/1858810


writer
conomi matsusmura
ライター/エディター。ファッション・カルチャーを扱う東京の出版社に勤務後、地元・奈良に拠点を移す。都会と地方を行き来しながら、自然に循環する社会について模索中。
BRAND NAME
J.M. WESTON
J.M. WESTON
COMPANY NAME
J.M. WESTON Aoyama
J.M. WESTON 青山店
INFORMATION
着用しなくなったJ.M. WESTONのアイテムを消費者から買取する
「WESTON VINTAGE」というプログラムを2020年より実施。買取後は修繕されヴィンテージモデルとしてリリースされる。