
キラキラとした世界へと引き込まれる、スワロフスキーは1895年の創業以来ずっと多くの人々を魅了し続けているブランドだ。2020年には新クリエイティブディレクターにGiovanna Engelbert(ジョバンナ・エンゲルバート)が就任し、ジェンダーレス・エイジレスなデザインで人気を博している。ブランドの歴史を守りつつも、新たなことにチャレンジし常にジュエリー界を牽引するスワロフスキーのサステナブルなビジョン、そして、挑戦を紐解く。
美しく輝くクリスタルの世界
スワロフスキーは眩いクリスタルで、リングやネックレスなどさまざまなジュエリーを展開している。クリアなストーンはもちろん、遊び心溢れるピンクやブルーのストーンをあしらった主役級のジュエリーまで、デイリーからパーティーシーンまで楽しめるアイテムがずらりと並ぶ。その魅力はジュエリーだけにとどまらず、レッドカーペットで度々セレブリティが着用するドレスにも使用される。
第65回グラミー賞のレッドカーペットでは、ハリー・スタイルズが25万個からなる9色で展開されたジャンプスーツで登場した。彼が持つ独特のジェンダーフルイドな雰囲気によく合うこのジャンプスーツは全てハンドメイドで150時間以上かけて作られた。また、2014年にリアーナがファッションアイコン賞をCFDAから受け取った際に着用した、全身スワロフスキーのクリスタルに包まれたネイキッドドレスはファッション史に残るほどのアイコニックなドレスとなった。見る人をも魅了する、そんなデザイン性の高さと煌びやかさ、そしてクラフトマンシップは称賛すべき芸術と言える。

SILVER RING, GOLD RING, SILVER HOOP EARRINGS | Tom Wood
地球と向き合う、厳格に管理された製造工程
創業者のダニエル・スワロフスキーは「責任ある地球市民として行動する」と提唱しており、スワロフスキーは125年以上環境配慮に基づいたビジネススタイルを掲げている。2030年までにスコープ1・2(自社で直接・間接的に排出する温室効果ガスを指す)の排出量を40%削減、スコープ3(原材料の仕入れ時・販売後に排出される温室効果ガスを指す)の排出量を28%削減することを目標としている。実際に2019年以降、太陽光発電などの再生可能エネルギーに投資することでスコープ1・2の排出量を12%削減することに成功した。スコープ3に関しては、一部の金属をリサイクル金属に切り替え、航空貨物から海上・鉄道貨物を優先することで排出量26%削減している。
廃棄物についてはその70%以上を再利用し、埋め立てごみを90%なくすほか、2030年までにはパッケージについても再利用されたものに変えることを宣言している。さらに、クリスタルを研磨する工程で使用する水の98%、研削工程で使う水の88%を浄化し、再利用している。
排出量・廃棄量の削減に加えて、ジュエリーに使われる原材料の見直しも行った。2030年までに製品の半分をサステナブルな指針に従って制作することを義務付けている。素材は再利用されたもの、もしくは責任のある環境下で管理されているものにこだわり、効率的に製造され、余った素材は再利用することができるように製造されている。2021年にはサステナブルマテリアルパイプライン(SMP)を立ち上げ、美しくも環境に優しいクリエーションを行っている。
問題視され続けている環境問題に対し、ブランドとしてできることを限りなく追求し、結果を残している。一人ひとりにできることは限られているが、スワロフスキーのイニシアティブなスピリットに倣って今こそ個人にできることを見直すべきではないだろうか。

DRESS | determ;
Equality, Diversity, and Inclusion!
環境問題だけでなく人権問題にも重きを置いているスワロフスキーは、ブランドで働いている人の人権だけでなく、社外のマイノリティにも目を向けている。従業員の77%が女性で、グループ全体でウーマンエンパワメントに取り組み、男女の平等を訴えている。具体例として「eMpoWertogether」は、職場での女性の地位向上を目指し、平等問題に対する教育を行っている。国際的な取り組みとして、2022年には50人の難民女性を対象にした3年間に及ぶインターンシップが開始され、キャリア・就職をするチャンスを与えている。安心のできる職場環境はスワロフスキー社内だけでなく、サプライヤー側とも協力をしお互いにとってベストな空間を確保している。
LGBTQ +コミュニティに対するサポートも大きく、トランスジェンダーのモデル起用やゲイライトに対する知識を深めるイベントを催している。「誰かの問題」ではなく、わたしたち全員に当てはまる問題、スワロフスキーのインクルーシビティーに対する姿勢は社会に対して大きな影響を与える。
ただ美しいだけではない、徹底的に厳しく管理された製造過程や企業努力、職場環境の結果として出来上がったジュエリーだ。こうした背景を知ることで、スワロフスキーに対する関心は深まる。地球や人類に対して向き合うスタンスは、わたしたちに教育の機会を与え、一個人・一企業としてできることはなにか?と考えさせられる。美しく輝くクリスタルを身につけ、自分自身の個性を表現し、新たな一歩を踏み出したい。
【出典】
https://www.swarovski.com/ja-JP/s-sustainability/
https://spur.hpplus.jp/sdgs/news/VoFRRw/
https://www.swarovski.com/ja-JP/s-sustainability-our-people/
https://www.swarovski.com/ja-JP/s-sustainability-our-planet/
https://www.swarovski.com/ja-JP/s-swarovski-red-carpet/
https://www.wwdjapan.com/articles/1277179
https://www.vogue.in/content/rihanna-wins-most-scintillating-dress-2014
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/scope123.html


writer
atsushi
1995年生まれ。高知県出身。アメリカ留学後、オーストラリアでワーキングホリデーを経験。2024年Tender Party参加。サステナブルとファッション関連担当。時々モデル。時々キャットシッター。
BRAND NAME
Tom Wood
トム・ウッド
COMPANY NAME
SHOWROOM: Steady Study
ショールーム: ステディ スタディ
INFORMATION
93カ国の人々が在籍し、従業員の77%および、指導的地位の36%が女性。
30年までにパッケージを完全に認証済みまたはリサイクルされた素材に移行し、完全にリサイクル可能または堆肥化可能にする。
2024/11/06
BRAND NAME
determ;
デターム
COMPANY NAME
SHOWROOM: THE WALL SHOWROOM
ショールーム: ザ・ウォール
INFORMATION
地球環境や動物福祉を重要視。女性をサポートするためのラウンジウェア。肌触りが良く抗菌効果がある生地は魚の鱗から抽出されるコラーゲンを使用したエコ素材。廃棄物削減のため在庫を多く持たない
2024/11/06