Fashion

2025.03.17

服にはセルフケアがあらわれる。自己解放への扉を開けるSéfrのエンパワメント

photographer:JUN YASUI
stylist:JUNKO KOBASHI
hair:WAKA ADACHI
makeup:NAO YOSHIDA
model:ALEX STEIN
text: ATSUSHI NAKAYAMA

服にはセルフケアがあらわれる。自己解放への扉を開けるSéfrのエンパワメント

温かみを感じるモヘアニットや主役級のスウェードのセットアップ、どのピースを選んでも日差しがキラキラと降り注ぐ中で気分が上がるようにファッションを楽しめるアイテム。Séfr(セファー)は、スウェーデンでPer Fredrikson(パー・フレドリクソン)とSinan Abi Morshed(シナン・アビ・モーシェット)によって2016年にローンチされたブランド。元々はヴィンテージショップだったが、2018年から春夏コレクションを展開。ミニマルながら洗練されたルックスは、今やスウェーデンを代表するブランドへと成長し続けている。そんなSéfrが光り輝く理由とは。

Séfrが示すスカンジナビアのアイデンティティ

Séfrの魅力の一つとして挙げられるのがジェンダーレスなルック。ブランドのルックブックには、男性でも女性でも楽しめるようなアイテムがずらりと並ぶ。男女というアイデアに縛られないスピリットは、ジェンダーギャップが少ないとされるスウェーデンらしさが垣間見える。スウェーデン語に「hen」(男性も女性も使える性別不問の代名詞)という言葉があるように、Séfrのアイテムは「(男女関係なく)着たいものを着てください」とわたしたちに訴えかけているかのよう。オーバーサイズなジャケットもスタイルをワンランク上げるデニムも、男女関係なく楽しめる。”女性らしさ”を感じる鍵編みニットやレースのシャツまで、男性コレクションからも発表されている。Séfrのアイテムはただミニマルなデザインではない。少し背伸びしてでも身につけたいような大人の自信や余裕を感じる。

Séfrのユニークなアイテムを作る根源と言えるのは、独特な素材選び。常にオープンマインドで、生地から何ができるかを決めつけない。教科書通りの洋服作りはしない、固定概念に縛られないフレキシブルな思考はSéfrの洋服を輝かせるエッセンスの一つでもある。いろいろな素材のアウターやパンツは、着る人の個性を代弁する。

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LONG COAT, LEATHER JACKET Séfr | BODYSUIT WOLFORD | BAG KWANPEN | GROVES, SHOES STYLIST'S OWN

ヨーロッパと共に成長し続けるブランド

Séfrのアイテムのほとんどがヨーロッパで製造されている。イタリアやラトビア、ブルガリアやポルトガルなどから仕入れた生地は周辺諸国の工場で縫製などすべての製造工程が組まれている。それらの工場はブランドの設立当初から共に一つのチームであり成長を見守り続ける存在だ。出来上がったアイテムに仕入れ先や製造国が記載されているところからは、Séfrというブランドの透明性への強い姿勢が伺える。また、ヨーロッパ内での製造にこだわることによって、各国々に雇用の機会を与えるだけでなく現地の工場の存続を救うきっかけにもなる。さらに、サプライチェーンを近隣国で賄うことは運搬にかかる二酸化炭素の排出量を自ずと減少させる。

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BODYSUIT WOLFORD | SHIRT JACKET PROTOTYPES | TROUSERS Séfr | HAT HIZUME | SHOES STYLIST’S OWN

世のトレンドに流されることなく、オーセンティックでありながらハイセンスなスタイルを貫くSéfr。タイムレスな洋服を選ぶことは流れる時間のなかで己に対峙しながら、自らとともに変わりゆく経年の変化を楽しむという楽しみがある。

ワインが熟していくように、クローゼットでお気に入りの一着がじっくり時をかけてヴィンテージとなっていく。洋服に手間ひまかけて大切にしているかどうかは、自分自身に対する姿勢を映し出す、いわば鏡のようなものだ。そんなメッセージが、ヴィンテージショップを展開していた2人から聞こえてくるようだ。

【出典】
https://www.sefr-online.com
https://magazine.mdnt.jp/sefr-2022-23-aw-collection-3969/
https://www.voguescandinavia.com/articles/swedish-brand-sefr-expands-into-womenswear-a-first-look
https://giuuno.com/en/blogs/notizie/scegliere-sempre-leleganza-contemporanea-il-brand-di-abbigliamento-maschile-sefr
https://www.highsnobiety.com/en-us/shop/brand/sefr/
https://www.fashion-press.net/brands/6082
https://www.businessinsider.jp/post-196897
https://www.sefr-online.com/product/ahti-hoodie

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writer

Atsushi Nakayama 

1995年生まれ。高知県出身。アメリカ留学後、オーストラリアでワーキングホリデーを経験。2024年Tender Party参加。サステナブルとファッション関連担当。時々モデル。時々キャットシッター。

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