Fashion

2025.01.16

個性派ファッションからアートの世界まで 。JW Andersonの型破りな美学

photographer:GENKI NISHIKAWA
stylist:JUNKO KOBASHI
hair:KAZUHIRO NAKA
makeup:MASAYO TSUDA
model:MEL VAN ROEMBURG
text: ATSUSHI NAKAYAMA

個性派ファッションからアートの世界まで 。JW Andersonの型破りな美学

トイストアから飛び出してきたかのような、遊び心満載のアイテム。カエルや鳩など動物をモチーフにしたラバーシューズやクラッチバッグなど、JW Andersonは、わたしたちの日常のスタイルにスパイスを加えるような存在だ。ここ日本でも16回目を迎えるUNIQLOとのコラボ商品は熱狂的な人気を博している。イギリス出身の彼はユニークなアイテムだけでなく、生まれ育った故郷で若い種を育てることで明るい未来と希望を差し込む存在だ。ブランド設立当初から走り続けているデザイナー、ジョナサン・アンダーソンの叶えたい夢とは。

オリジナリティ溢れるJW Andersonらしさ

JW Andersonは、北アイルランド出身のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が2008年に設立したブランドだ。2023年にはアメリカのファッション協議会(CFDA)でインターナショナル・デザイナー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞、同年のブリティッシュ・ファッション・アワード(BFA)にてデザイナー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞した、今最も注目されているデザイナーの1人である。一方で、2013年からはスペインのラグジュアリーブランドLOEWEのクリエイティブディレクターとしても務めている。彼の魅力は、なんといってもユーモア溢れる独特なデザインが施されたアイテムたちだ。スポットライトを奪ってしまうほどのインパクトのある表現法は、ファッションに精通していない人々の間でも頻繁にX(旧Twitter)などで話題に上がる。ファスナー部分に四角のチャームが付いたジップアップのネックバンド、大袈裟なくらい大きなチェーンが施されたローファー、ペニス型のキーリングなどアイコニックなアイテムを挙げたらキリがない。彼の独特の美学は、設立当初から多くの人々を魅了し続ける。そして、もう一つ彼のデザインの特徴として挙げられるのが、ジェンダーレスなルック。2013年秋冬コレクションでは、フリルが付いたレザーのショートパンツをメンズモデルが着用し、ランウェイに登場した。性別に囚われずにファッションを純粋に楽しみたい、自分の気に入るアイテムを自分らしく個性として纏う。JW Andersonを着て道を歩けば、それはもうあなただけのランウェイと言わんばかりに。

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JACKET JW ANDRESON
TIGHTS WOLFORD
SUNGLASSES MYKITA

夢を追い、与え続ける存在

ジョナサンの想いはファッションだけに留まらず、アートの世界へと拡がっている。2023年2月にはイギリス国内の美術館・博物館に作品購入の支援金として年間5万ポンド(約980万円)を寄付する「JW Anderson Collections Fund」を設立した。この基金は、未だイギリスで知られていないアーティストの作品の購入検討をしている美術施設のサポートを目的としている。ヘップワースウェイクフィールド(The Hepworth Wakefield)という美術館が初の受賞者となり、ジェイク・グレウォル(Jake Grewal)の美しく迫力のあるチャコール画の「The Sentimentality of Nature(2022)」とアンドリュー・クランストン(Andrew Cranston)による日常の中に潜む不気味さを表現した絵画「A snake came to my coffee table on a hot, hot day to drink there(2023)」を購入した。「アートはいつもインスピレーションの根源にある。イギリス国内でのアート収集に対する費用に規制がかかる中で、まだ注目されてないようなアーティストを発掘し、ミュージアムが成長し続ける方法を見つけたかった」とジョナサンはコレクション基金を設立した際に語った。彼のユニークな頭の中を構成する大きな部分「アート」に対する彼なりの恩返し、彼は多くのアーティストに夢を与える存在だ。

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JACKET JW ANDRESON

ブランドの成長に伴い、彼の夢はどんどん実現している。彼自身の発信したいスタイルが明確になり、JW Andersonを解釈し理解してくれる人々も増えた。「JW Anderson Collections Fund」の設立も彼の思い描いていた夢の一つ。彼の夢は誰かの夢を叶えるきっかけになり、最良のサイクルへと広がっていく。

【出典 】
https://www.jwanderson.com/jp/about/jwanderson
https://cfda.com
https://fashionawards.com
https://www.tjapan.jp/fashion/17309883?page=3
https://hepworthwakefield.org/news/jw-anderson-collections-fund/
https://www.fashionsnap.com/article/jonatananderson-shibuya/

atsushi nakayama

writer

ATSUSHI NAKAYAMA

1995年生まれ。高知県出身。アメリカ留学後、オーストラリアでワーキングホリデーを経験。2024年Tender Party参加。サステナブルとファッション関連担当。時々モデル。時々キャットシッター。