毎年ファッション業界だけでも192万トンの繊維廃棄物が出ており、その量は毎秒あたりトラック1台分の衣料の廃棄量に値するという。
トレンドに流され、ついこの間まで着ていた洋服を捨てたり、売ったりしたことがないだろうか。洋服の製造過程において大量のエネルギーや水が使用されるだけでなく、遠い国の捨てられた洋服は砂漠の地へと廃棄される。そんな悪循環に終止符を打とうとするブランドがある。
Prototypesは、再利用された生地を使うことで、100%サステナブルな精神でファッション業界に挑む新鋭のブランドだ。メンズライクでありながらストリート感をしっかり持たせたデザインにはたくさんのトリックが仕掛けられている。Prototypesが持つアティチュードは、ファッション界だけでなくわたしたち消費者も学ぶべきものがある。
個性を引き出すためのアップサイクル
Prototypesは、2021年にスイスのチューリッヒでローラ・べハムとカラム・ピジオンによって設立された。二人は元々フランスのラグジュアリーストリートブランドVetementsで机をシェアしていた仲だ。ブランドのDNAとして、環境面に配慮しサステナブルであることを徹底している。そのため、コレクションの全ては元々廃棄物であった生地を再利用している。彼らにとってはゴミではなく、クリエイティブを表現する立派な材料だ。工場と協力し、自らの手でデッドストックされたものをアップサイクルしている。サッカージャージからデニム、警察のユニフォームまで、多岐に渡る素材から選ばれている。中でも警察のユニフォームは政府基準で製造されているため、丈夫で長持ちすると言う。たくさんのネクタイから作られたドレスや、サッカージャージをアレンジしたフーディ、どれもクリエイティブに再構築されたアイテムだ。
業界の問題を無視して新たな洋服を新たな素材を用いて作るのではなく、長年、ファッション業界の前線で働き続けている二人だから表現できた衣服の新しい提案。皮肉にも「新たな洋服を作るよりも、アップサイクルをする方が高価」だと、ローラは言う。昨今では、多くのブランドが環境に負荷の少ないオーガニックの素材を使用したり、製造過程において再生可能エネルギーを使ったり水の使用量を抑える試みを行っている。少しずつ、ファッション業界は必要な変化に対して順応しようとしている。そこで、アップサイクルとはまた違ったビジネスモデルを彼らは提案している。この独創的なアイデアは斬新だがオールドファッションで、新たな時代の基盤になる可能性がある。
誰もが気軽に参加できるプログラム”PROTO PACKS”
彼らは、アップサイクルしたコレクションラインとは別にDIYラインを設けている。消費者の自宅にある着用しなくなった洋服を、新たに自らの手でPrototypesのDIYラインにすることができる「PROTO PACKS」だ。Prototypesのウェブサイトからパターンと説明表をダウンロードし、アイテムを縫製する。「二つのスウェットパンツから、こんなにイケてるフーディができるのよ!やってみて!」と、二人の気持ちが込められたラインである。
元々は人々の暮らしの中にあったDIY。そこに100%頼り切るのではなく、自らの手で加工することにより不要だったものが、より想いの入ったアイテムへと生まれ変わる。サステナブルな素材を用いて消費者自身が作り上げることができ、しかもPrototypesが提案するパターンを使って、(順当に行けば間違いなく)完全にオリジナルなアイテムとなる。
さらにPrototypesは、「PROTO PRINTS」というDIY方法も提案している。こちらは、更にシンプルで、服にアイロンをするだけでプリントできるタトゥーシールのようなもの。簡単に自分好みのデザインへとアレンジすることができるのだ。彼らの包装紙の材料はもちろん生分解性。PROTO PACKSとPROTO PRINTSで共通して言えることは、わたしたち自身でできる最も身近な洋服のアップサイクルということ。毎日当たり前に服を着ることも、それらをカスタムしてより息の長い愛着のある唯一無二なアイテムへと育て、寄り添っていくこと。シンプルに物を大切にするということから派生する「サステナブル」に対する徹底的な姿勢は、社会に挑戦する彼らのビジョンそのものだ。
Prototypesのアイテムを購入することは、サステナブルなブランドに投資しているということ。PrototypesのDIYラインを試すことは、既製品の可能性を広げるということ。Prototypesのように、わたしたち自身もどうすればより良い環境を作れるのか考え、挑戦し続けることが重要ではないだろうか。
writer
Atsushi Nakayama
1995年生まれ。高知県出身。アメリカ留学後、オーストラリアでワーキングホリデーを経験。2024年Tender Party参加。サステナブルとファッション関連担当。時々モデル。時々キャットシッター。
BRAND NAME
DAWEI
DAWEI
COMPANY NAME
SHOWROOM: MAISON DIXSEPT
SHOWROOM: MAISON DIXSEPT
INFORMATION
The designs incorporate the essence of couture that Dawei Sang learned in Paris and a wealth of experience with maison brands. The matching of unexpected materials gives a fresh expression to everyone who wears them.
2024/11/06
BRAND NAME
Officine Universelle Buly
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー
COMPANY NAME
Buly JAPAN
ビュリージャパン
INFORMATION
1803年にパリに創立した総合美容専門店。「優れた美容とは、健やかで自然な結果を追求することである」がモットー。古来から研究されている美容法と最新の技術を組み合わせた美容製品を次世代へと繋いでいく。
Q_1
企業のサスティナビリティ目標を教えてください。
私たちの主な目的は、プラスチックの使用を制限し、さまざまな包装材料をまとめて数を減らし、リサイクルしやすい材料を優先することです。
Q_2
以下項目において、貴社の取り組み目標と現在の達成率を分かる範囲でお聞かせください。
—— 温室効果ガス排出量削減に関する取り組み
⚫︎GOALS [目標]当社は海上輪送と陸上輸送を優先しています。不要な移動を制限するため、主な生産センターは倉庫の近くにあります。
⚫︎ ACHIEVEMENT RATE [達成率]—— 労働条件改善への取り組み
⚫︎GOALS [目標]オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは家族経営の会社としてスタートしたため、労働条件には常に細心の注意を払っています。フランスには優れた社会法もあり、それが世界中でビュリーを経営する上でのインスピレーションの源となっています。LVMH傘下でも、私たちは同じ価値観を維持しています。
⚫︎ ACHIEVEMENT RATE [達成率]—— 生物多様性への取り組み
⚫︎GOALS [目標]植物オイル、クレイ、パウダーはオーガニックの生産者を選んでいます。
—— 人種および性的マイノリティへの格差撤廃
⚫︎GOALS [目標]それは私たちにとってトピックではありません。私たちは常に、さまざまな出自やスタイルのチームを持っています。Bulyは入社初日から普通的にオープンマインドな会社です。それがラムダンと私の生きている世界であり、オープンで自由なのです。
⚫︎ ACHIEVEMENT RATE [達成率]Q_3
環境負荷の低い生産背景を実現するために、貴社が現在も積極的に取り組んでいることを教えて下さい。
私たちは、各店舗で販売しているボトルや大理石の瓶から独自のリサイクルプログラムを作成する作業を進めています。非常に複雑なプロジェクトです。2026年に準備が整う予定で計画中です。
2024/11/06
BRAND NAME
KITA WORKS
キタワークス
COMPANY NAME
SHOWRROM: ENKEL
ショールーム: エンケル
INFORMATION
鉄・ステンレス・真鍮・ガラス・木材を取り入れた他にないデザインのテーブルやチェア。地元岡山県津山市にある木多溶接工場の技術を活かした製造。カスタムメイドのオーダーも可能。
2024/11/06
BRAND NAME
MESSIKA
メシカ
COMPANY NAME
SHOWROOM: M inc
ショールーム: エム
INFORMATION
2022年にレバノンの女性を支援する「MESSIKA CARE(S)」を立ち上げ。2年間に渡って4000個以上の衛生キットを配布。アイテムを購入することで若者を支援する団体に利益の一部を寄付
2024/11/06